入れ歯の寿命はお手入れで決まる!正しいケアとトラブル対処法を解説

「毎日使っている入れ歯、このお手入れ方法で本当に合っているのかな?」
「入れ歯の臭いや汚れが気になって人前で話すのが少し不安」
入れ歯をお使いの方なら、一度はこんな風に思ったことがあるのではないでしょうか。
入れ歯は、お手入れ方法を間違えてしまうと、口臭や口内炎の原因になったり、入れ歯自体の寿命を縮めてしまったりすることもあります。
本記事では、入れ歯を長く使い続けるためのお手入れ方法と注意点、トラブルへの対処法について解説します。
入れ歯の正しいお手入れ方法とは
入れ歯を清潔に保ち、長持ちさせるためには、毎日のお手入れが欠かせません。ここでは、簡単に実践できる、正しいお手入れを4つのステップで紹介します。
ステップ1:まずは流水でゆすぐ

まず入れ歯を流水でしっかりとゆすぎましょう。
食後、入れ歯には目に見える大きな食べカスがたくさん付着しています。洗面器に水を張り、その中で指や柔らかいブラシを使いながら大きな汚れを優しく洗い流すイメージです。
専用ブラシで磨く前に汚れを洗い流しておくことで、入れ歯の表面に傷がつくのを防げます。
ステップ2:専用ブラシで優しく磨く
次に、入れ歯専用のブラシを使って、汚れが溜まりやすいバネの周りや歯と歯の間を丁寧に磨きましょう。このとき、歯磨き粉を使用せず、水だけで磨くのがおすすめです。
歯磨き粉には研磨剤が含まれており、入れ歯の表面に無数の細かい傷をつけてしまいます。目に見えないほどの小さな傷でも、その溝に細菌が繁殖し、臭いやぬめりの温床となってしまうので注意しましょう。
専用ブラシがない場合は、やわらかい歯ブラシで代用できます。
ステップ3:洗浄剤でつけ置きする
就寝前のお手入れの仕上げとして、入れ歯洗浄剤を使ったつけ置き洗浄を行いましょう。
目に見えない細菌やお茶・コーヒーなどによる着色汚れを化学的に分解し、除菌・消臭してくれます。
コップや専用容器にぬるま湯を入れ、洗浄剤を溶かしてから入れ歯を浸します。時間は製品によって異なりますが、一晩つけておくタイプのものが多いです。
ステップ4:清潔な水で保管する
就寝中など、入れ歯を外している間は、清潔な水を入れた容器で保管してください。入れ歯は乾燥に弱く、空気に触れたまま放置すると、水分が失われて変形やひび割れの原因になるからです。入れ歯が変形してしまうと、お口に合わなくなり、痛みが出たり、ガタついたりする原因になります。
洗浄剤に浸した後は、薬剤が残らないように流水でしっかりすすいでから、保管用のきれいな水に移してください。
ただし、入れ歯の素材によっては、水につけずそのまま保管できるものもあります。わからない場合は歯科医師の指示に従って保管しましょう。
お手入れする時に注意する点
良かれと思ってやっているお手入れが、実は入れ歯の寿命を縮めているかもしれません。ここでは、入れ歯を長持ちさせるために避けるべき4つの注意点を紹介します。
注意点1:熱湯で洗浄・消毒しない
入れ歯の洗浄や消毒に、熱湯を使うのは絶対にやめてください。保険診療の入れ歯は「レジン」というプラスチックの一種でできており、熱に非常に弱い性質を持っています。
熱湯をかけると変形したり、歪んだりしてしまう危険性があります。変形した入れ歯は元には戻らず、お口に合わなくなるため、最悪の場合、作り直しが必要になってしまいます。
注意点2:歯磨き粉で磨かない
入れ歯を歯磨き粉で磨くのは避けましょう。
毎日歯磨き粉でゴシゴシ磨いていると、新品の時はツルツルだった入れ歯の表面が傷ついてだんだんザラザラになってきます。
ザラザラした部分に茶渋やタバコのヤニなどが付着すると、見た目も悪くなってしまいます。また、この傷は細菌の格好のすみかとなり、いくら洗浄しても臭いが取れにくくなる原因になります。
入れ歯専用の洗浄剤か水で磨くようにしてください。
注意点3:強くこすりすぎない

汚れを落としたい一心で、力を入れてゴシゴシこすりすぎるのも禁物です。
強い力で磨くと、入れ歯の表面がすり減って摩耗したり、部分入れ歯の金属のバネ(クラスプ)が変形したりする恐れがあります。
入れ歯のお手入れは「優しく、丁寧に」を基本としましょう。
注意点4:乾燥させない
お口から外した入れ歯をティッシュにくるんで机の上に置いたり、そのまま放置したりしてはいけません。繰り返しになりますが、入れ歯は乾燥すると収縮して変形し、ひび割れを起こすリスクがあります。
食事中に一時的に外す場合でも、必ず水を入れたコップやケースに入れる習慣をつけましょう。
トラブルへの対処法とは
毎日丁寧にお手入れをしていても、長く使っているうちに入れ歯にトラブルが起こることはあります。ここでは、よくあるトラブルとその対処法について解説します。
入れ歯が当たって痛い場合

入れ歯が歯ぐきに当たって痛みを感じる場合は、自分で削ったり調整したりせず、すぐに歯科医師へ相談しましょう。
痛みの原因は、加齢などによって歯ぐきが痩せて入れ歯が合わなくなった、かみ合わせが変化した、など様々です。
歯科医院でほんの少し調整してもらうだけで、痛みが消えることは珍しくありません。痛みを感じたら無理に使い続けず、まずは入れ歯を作った歯科医院で診てもらいましょう。
入れ歯がゆるい・ガタつく場合
入れ歯がゆるくなったり、食事や会話中にガタついたりする場合も調整が必要です。
これも歯ぐきが痩せて、入れ歯と歯ぐきの間に隙間ができてしまったことが主な原因。
市販の入れ歯安定剤を使用する方も多いですが、あくまで一時的な応急処置になります。安定剤を常用すると、合わない状態をごまかして使い続けることになるため、歯ぐきがさらに痩せてしまうという悪循環に陥ることもあります。
歯科医院では、入れ歯の内側を新しい材料で裏打ちして現在の歯ぐきにフィットさせる「リベース」という修理が可能です。
入れ歯が割れた・歯が取れた場合
万が一、入れ歯が割れたり、人工歯が取れてしまったりした場合は、破片をすべて保管し、速やかに歯科医院に持っていきましょう。
自分で市販の接着剤を使って修理しようとするのは絶対にやめてください。正確な位置に戻すことはとても困難で、かみ合わせがおかしくなるだけでなく、接着剤の化学物質がお口の粘膜に悪影響を及ぼす危険性もあります。
きれいに割れている場合などは、歯科医院で元通りに修理できる可能性が高いです。入れ歯が破損した際は、必ず歯科医師に修理を依頼してください。
まとめ
正しいお手入れの基本は「流水でゆすぐ」「専用ブラシで優しく磨く」「洗浄剤でつけ置きする」「水中で保管する」という4つのステップです。入れ歯を傷つけてしまう歯磨き粉の使用や、変形の原因となる熱湯消毒、乾燥は絶対に避けましょう。
また、万が一「痛い」「ゆるい」「割れた」といったトラブルが起きた場合は、自己判断で修理せず、必ず歯科医師に相談してください。
入れ歯はあなたの大切な体の一部。今日から正しいケアを実践していきましょう。
